覚え書き〈絵の価値について〉
ふと、絵の価値って何で決まるのか、と考えた。
まずは、歴史的な価値。絵はその時代や社会の影響を受けている。
宗教画だったり、記録としての絵画だったり、印象派だったり、その絵が生まれた歴史的意味があれば、そこに価値が生まれる。
あるいは、時間がもたらす価値。100年前の絵なら、100年という月日の中に価値が生まれたりする。
それから、作家のネームバリューによる価値。
そして、単純に作品の美術的評価が持つ価値。
そんでもって、鑑賞者がその絵に見出す価値。
感動するとか、惹かれるとか。ほしい、と思う気持ちによって生まれる価値。
ここまで考えて、絵画の価値の在り方は、その他の物と同じなんだな、ということに気づいた。
身の回りに溢れている、服や家電や本や音楽、それらのものとなにも変わらない。
もともと絵画自体に価値があるわけでなく、1枚の絵にどれだけの価値が付くかによって、その絵の価値が決まる。
それは普遍的なものではなく、時間とともに、その価値も変化していく。
それは絵画に限らず、どんな物でも同じ事。
色々考えたけど、それは至極当たり前のこと。
そんな当たり前のことに気づいたわけです。
そして、絵画の価値は、作家自身が付けられるものではないんだ、ということ。
だから、作家は自分を信じて描くしかないんだ、ということ。
価値は、その後に付いてくるものなんだ、ということに、気づいたのでした。